2008年03月24日

平和への「覚悟」

正直言って、この数日間は自分の中に無力感が漂っています。

今こうしている間にも、不当に逮捕拘留された人たちが、どんな非人道的な扱いを受けているのかを考えると、怒りは悲しみになっていきます。

そこには年端もいかない子供や女性も含まれています。

僕にできることはあらゆる機会を使って、知りうる限りのことと、意見を伝えていくしかありません。



今回の暴動は、ダライ・ラマ一派による、中国分断を企てた用意周到な計画だとし、その確かな証拠も握っていると温首相自らが世界に発言しました。


しかし、暴動の映像を見る限り、民衆は素手のままです。

武装もしないで、それのどこが用意周到な計画によるものなのでしょうか。



おそらくは、最初に暴動ありきではなかったと思います。

今までのデモと同じように、「チベット独立!ダライ・ラマ万歳」を叫ぶだけのデモ行進だったのでしょう。


亡命政府に入ってきている情報では、無差別発砲により、多くの死傷者を出しました。

犠牲者の中には8歳の子供も含まれています。


そのことに怒った民衆が暴動に出たのでしょう。


この映像はその時のものだと思われます。

平和への「覚悟」


我々はこの映像を繰り返し見せられました。

何故このような事態になったのかの説明がないまま、テレビ局は中国側が提供してきた一方的な映像を、繰り返し流したのです。


3月10日には僧侶らによる平和的なデモが発生し、11日には治安部隊が催涙弾攻撃をしています。

すでに市内に大量に配置されていたはずの治安部隊が、なぜ彼らの暴動行為を黙って見ていたのかは謎のままです。

この映像自体が、捏造である可能性もぬぐい去れません。



また、なぜ大きな被害を受けた商店街の多くが、漢民族のそれではなく、イスラム教徒のものだったのか・・・



真実は国際調査機関が現地入りして調べれば、すぐにわかることです。



平和への「覚悟」



ウソにウソを重ねる中国政府。

国際社会は完全に馬鹿にされています。


まったく矛盾する言葉と態度で押し切れると信じている背景には、各国との経済関係への自信があるのでしょう。



経済の損得を選ぶか、人間としての在り方を選ぶか、大きな選択が突きつけられています。




もし日本が中国に抗議し、中国政府の反感を買ったとして、最悪の場合は、日本経済や食料事情にどれくらいの打撃が及ぶのでしょうか。


中国もしたたかに、自分たちが不利益を被るようなシナリオは直前で回避するでしょうが、もし万万が一の場合でも、終戦直後のことを思えばしのげるのではないでしょうか。



それくらいの覚悟で毅然とした選択をしたとき、日本は世界に貢献できる本物の国に生まれ変わると思います。



この国が平和をスローガンに掲げるのであれば、今こそその覚悟を示す時ではないでしょうか。









平和への「覚悟」   平和への「覚悟」





裏ブログの「かんながら」にも、チベット問題とその歴史を紹介しています。



Posted by Toshiro Abe at 08:20│Comments(14)チベット問題
この記事へのコメント
阿部さん、こんにちは。

僕も阿部さんが仰ってる事と同じ事を考えていました。

今の生活水準を維持する為に他国の顔色を伺いながら外交を続けていくのか、世界から孤立し、今の生活水準を一気に落としてでも真の平和の道を創造し、それを世界へアピールしていくのか・・・

日本国民の多くの方々の気づきが必要になってくるのではないでしょうか。
もう、ずっと前から、そのシグナルは出ていると思います。

自分の人生がこんなジェットコースターのような人生になっていこうとは、ちょっと前までは思ってもいませんでした。

正直、すごい不安だし怖いです・・・

でも、その先には素晴らしい世界が待っていると信じて覚悟を決めたいと思います。

あっ、日本の農業のシステムの事なんか、何1つ解らないバカな僕の疑問なんですが、大地の恵みである穀物や野菜が何故、タダではないのでしょうか・・・
行き着く所は、ここのような気がします。
Posted by power of now at 2008年03月24日 10:18
こんにちは。初めて書き込みします。

大丈夫ですよ!

「何が?」と思われるかもしれませんが、日本人ももう情報操作にだまされるほど愚かではない、ということです。(騙されている日本人も無関心の日本人もまだまだいるでしょうが。)

それにしても、日本の政治家のダメダメぶりが浮き彫りになってますよね。ヘタレです。

でも、一番腹立たしいのは「宗教家」と呼ばれる人たちの無関心を装う態度。
金にしか興味がないのではないか、と揶揄されても仕方がないと思います。今まで、「平和、平和」と良い事を言ってきたくせに、偉そうな、何かを悟ったかのような事を言ってきたくせに、ダライ・ラマ猊下を利用してきたくせに・・・・!!!!
Posted by kuri at 2008年03月24日 10:34
わたしの母の恩人に、モグリの針医者の中国人のじいちゃんがいました。残留孤児を育てた方で、子が日本に帰国するときに一緒に日本に来た中国ではお医者さんだった方でした。
情に厚いかたで、中国に言う「大人」という言葉にピッタリのひとでしたが。

「日本は自由。日本は暮らしやすい。中国はダメ。絶対に帰りたくない。」狭い団地暮らしで、不自由じゃないか、故国を捨ててつらくははないか、寂しくないかと問われるとそう言っていました。20年前の話しです。

知っている中国人の方は素晴らしい方ばかりなんですよね・・・。

中国という国は広すぎるのか・・・正直どう考えたらよいのかわかりません。自分になにができるのか、何をするのがチベットの人たちのためになるのか・・・。
Posted by sarume at 2008年03月24日 11:41
はじめまして、こんにちは。

チベット問題に関して、とても心を痛めております。しかし、どんな不道理なことであっても心に怒りをもってはならないとチベット仏教は教えております。

ダライラマ法王は、腹立たしい相手を敵と見なすかわりに、自分の忍耐行の師であると思いなさいとおっしゃいました。心の怒りを鎮めるものは、忍耐です。相手の暴力に怒りをもって対抗するものは、そこで新たな因を作ってしまうことでしょう。

国であれ個人のことであれ原因のない結果はありえないのです。

度重なる中国の暴力行為は、いずれ大きな結果として表面化するでしょう。

私たちにできることは祈ることです。祈りは暴力に勝ります。
Posted by 澄心 at 2008年03月24日 13:38
初めてコメントします。
阿部さんのブロクを読んで、深い悲しみとともに、自分に出来る事は何だろうかと考えます。
以前読んだダライ・ラマの本に紹介された詩の最後には、「みなの心が友情で結ばれますように」とつづられていました。
そして、何よりも大切なのは、暖かい心をもつこととも書いてありました。

阿部さんや皆さんの想いが広がって、深い友情で結ばれますように...
Posted by moku at 2008年03月24日 13:58
こんにちは、久しぶりにコメントします。
連日の阿部さんの記事、興味深く読ませていただいてます。

阿部さんの腹立たしさは
沖縄の歴史を風化させてはいけないと思う沖縄県民の腹立たしさと同じものだと思います。

平和を願う県民として、今回のチベットの問題は人事ではありません。

流れ込むだけの情報だけではなく、いまここに起きている事実を検証して真実を見極める必要を感じます。
微力でも表明できることが必ずあると思うので、自分なりに考えます。
Posted by まねきねこ☆ at 2008年03月24日 15:19
中国人も同じ人間であり、善い人もいれば悪い人もいる(どの人種でも)。
組織や国などの人間の集団は、本当に、上に立つ人の「質」によって大きく変わってきますね・・・。
中国のチベット侵略、中華思想は、アメリカのグローバリゼーションという名の傲慢な文化の押しつけとよく似ていると感じました。

仏教の開祖、釈尊がおっしゃられたように、一人一人がより良い人間として質を高め、確固とした自己を確立していくことで、身の回りからでも、少しでも良い社会にしていかなければと思いました。
Posted by taka at 2008年03月24日 15:38
> power of nowさん
国民がお金が全てと思っているから、このような政治がおこなわれるのだと思います。
このムードを変えるのは、一人ひとりの気づきしかないのかもしれません。

> kuriさん
さまざまな地域で人権をテーマにしたイベントで人を集めている団体が、いまこの問題に沈黙しています。
きれいごとで人心をつかもうとする偽善者達を暴きだすチャンスです。

>sarumeさん
その通りです。
しかし複雑な問題に頭を抱えるより、命、人権という明確な基準で行動したいと考えています。

>澄心さん
とても正論ですが、僕は違う意見です。
目の前で家族が殺されようとしているとき、僕は祈らずに適切な行動をとります。
ダライ・ラマが言う怒りの滅却と慈悲心は、修行過程の目安であり、たとえ釈迦の言葉だろうと、言葉を持ち運ぶのは危険な場合があります。

>mokuさん
現実を引き上げていくのは、「行動する愛」だと思っています。
僕もそのような世界を望んでいます。

>まねきねこ☆さん
僕の腹立たしさは(実は極めて冷静ですが)、チベットで起きていることだけでなく、そのことに沈黙している平和団体や人道主義者にも向いています。
悪人はわかりやすいですが、偽善者は正体を見抜くのに時間がかかります。
Posted by Toshiro AbeToshiro Abe at 2008年03月24日 16:02
>TAKAさん
>中国のチベット侵略、中華思想は、アメリカのグローバリゼーションという名の傲慢な文化の押しつけとよく似ていると感じました。


まったくその通りです。
アメリカもロシアも中国も、大国のエゴと横暴さはいつの時代も同じです。

それでもあえて言います。

「チベットに対する中国政府の残虐な行為に断固抗議します」
Posted by Toshiro AbeToshiro Abe at 2008年03月24日 16:08
はじめまして。いつも楽しみに読ませていただいています。
世界人類の集合意識のレベルアップに期待しつつ、私も内面の浄化に努めたいと思います。相手は変わりません、たとえ変わったとしても別の似たような問題が浮上するでしょう。でも自分が(ひとりひとりが)変われば外界も変わると確信しています。
Posted by 意識 at 2008年03月24日 16:57
 こんにちは。

今回、中国政府は情報を徹底的に制御、規制しようとしていますが、民間人と政府間での意識の違いが大きくなっていっているようにも感じられます。

情報操作に限界のある時代ではないでしょうか(鵜呑みにしてしまう人々もいるでしょうが・・・・)

こうして発言の自由のある国であることに感謝をしつつ、
日本政府が行ってきた田んぼや畑の減反、
中国の経済制裁でどれほど日本は困るのか想像できないのですが、
毎日世界のどこかで飢えで死んでしまう人々の命をどれほど救えるであろう「食料」が「残飯」として捨てられてしまうこの日本の豊かさってなんだろうと思ってしまいます。

水道をひねれば水やお湯がでて、
雨風、暑さ寒さをしのげる家に住み、
物のあふれている部屋。

経済制裁とはいうものの、中国の企業などは困るのでは・・・?とも思ってしまいます。

まず、情報の自由を奪って操作している時点で
中国政府はいかに愚かなことをしているのか
言わずとも自ら語っているようなものです。

中国の素晴らしいところは素晴らしい。

しかし、
今、中国政府がチベットにしていることは
卑劣極まりないことです。

一刻も早くチベットが平穏になりますように。。。

そうして
日本政府は確固たる対応をしなければなりません。

個人個人が平和を願うこの気持ちを形に。。。
Posted by 火星ねこ at 2008年03月24日 18:35
>意識さん

結局そこに来ますね。
先ほどの澄心さんには真っ向から反論してしまいましたが、その意見にも一理あると思っています。

しかしいまこの流れの中で、その考え方を優先することで、何が変わるというのでしょう。

すべては己に中にあるという真実と、目の前の真実と、どちらもバランスよく対処していけるような自分を目指したいと思います。


>火星ねこさん

このネットの力が、事態の好転に向かってくれたらと願っています。
コメントありがとうございました。
Posted by Toshiro AbeToshiro Abe at 2008年03月24日 19:46
昨日の夜中、自分の中でふとした気づきがありました。

抗議しなければ何も変わらない・・・でも抗議しても何も変わらない・・・と。

力による圧力は、自分の気持ちは少し晴れますが、本来の目的である問題解決にはつながらないんだと思いました。

澄心さんやtakaさんのような意見を認めてしまうと、何も起きないまま終わってしまうような気がしていましたが、みなさんの意見の中に真実があると思います。
Posted by Toshiro AbeToshiro Abe at 2008年03月25日 10:39
怒りと憤りに支配されていたわたしの心が
解放された気がしました。覚悟。わたしも、それが必要だと思います。
Posted by MayaMaya at 2008年03月29日 17:28
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