2008年03月18日

続・チベットのこと

テレビから繰り返し流されるチベットの映像と情報は、中国政府からの一方的なものであり、今いったい中国各地で何が起きているのか、まったく知ることができません。

ニュースキャスターは、今回の出来事の理由に、経済格差と少数民族の不満を挙げていましたが、あまりにも表面的な説明だと思いました。



続・チベットのこと



チベット弾圧の歴史は昭和24年に始まります。

この年、内戦に勝利した人民解放軍(共産党軍)は、その勝利の勢いでチベットに侵攻しました。

昭和34年には、ダライ・ラマ法王が流血拡大を防ぐために、ヒマラヤ山脈を越えてインドに亡命します。

これをもってチベット政府は事実上崩壊し、それ以後今日まで中国共産党によるチベット支配が続いています。



さらに悲惨だったのは昭和41年から始まる文化大革命という名の大虐殺です。

これらの度重なる蛮行により、無数の女性や子供を含む、約120万人の罪なきチベット人が殺され、6000以上もの寺院が破壊され、チベット仏教は壊滅的な状態に追い込まれました。



観光客向けに、ごく一部の寺院が再建され、昨日の幹部の会見ではチベットには信教の自由があると言っていますが、それはまったくのウソで、実際には思想の強化締め付けは厳しくなる一方です。

そのことに抗議してデモを行えば、ことごとく投獄され、拷問や虐殺が行われてきましたし、今回も同じやりかたで終結させようとしています。

まったく悲しいことです。



ちなみに昭和30年代後半、社会主義政策の失敗により、チベット国内で大量の餓死者が発生します。

そのことに対してパンチェン・ラマ10世は、「7万語の請願書」と呼ばれる報告書を中国政府に提出しますが、それが原因で10年近くも北京に投獄されました。

出獄後もチベット文化を守るために全身全霊をかたむけますが、ある時急死してしまいます。

遺体の舌が真っ黒だったことから、一部では毒殺説もささやかれました。



その後継者であるパンチェン・ラマ11世は、後継者に認定された3日後に、6歳という年齢で中国政府に拉致されました。

世界最年少の政治犯を救出しようと、さまざまなキャンペーンが今もなお続いています。

関係者筋の話では、今も生きたままどこかに幽閉されているそうです。

だとしたら現在19歳になります。



ダライ・ラマとパンチェン・ラマは、お互いを補い合う関係にあり、今後も歴史的に正統な後継者を存続させていくためにも、彼の救出が必要です。

それはチベットの文化と宗教の問題であり、異国の政党幹部によって判断されるべき問題ではないのです。


そのことも含めて、国際社会は中国政府に強く働きかける時だと思います。




新聞やテレビでは伝わってこない事実があります。

一人でも多くの人が、チベットが置かれた現状と悲惨な歴史を知り、チベットの人たちを支援してくれることを願ってやみません。





賛同してくれる人は応援よろしくお願いします。

続・チベットのこと   続・チベットのこと






今夜の「いまここ塾」も、チベット仏教についてお話しさせてもらいます。



Posted by Toshiro Abe at 09:54│Comments(13)チベット問題
この記事へのコメント
どうしてこんな悲惨な状況になるのでしょうね、、、
お互いただ存在している、お互い自由な意思を持っている、、、
ただそれだけのことをなぜ認め合えないのでしょう、、、
悲しくなります。
力で押さえつけたって誰も幸せになれないのに、、、
(押さえつけている方は、押さえつけていることその状況が満足できているってことでしょうか、、、押さえつけられている側の痛みはどうやったら解らせることができるのでしょう、、、)

全てに満たされているのに、それに気付かず、あれが足りないこれが足りないと、小さなことをさも大きなことのように悩んでいる間に、、、

世界のあちこちで、本当に、満たされていない、守られていない、不遇な環境にいる人達、、、

もっと知らなければなりませんね。
自分の小ささを嘆くまえに、もっと意識を高めなければと思います。
Posted by とろりん at 2008年03月18日 11:02
殺傷力のない武器って どんな武器
その武器で 多くの虐殺が出来る中国って・・・
その出来事を でき物に触れるような報道しか出来ない日本って・・・
心が痛いです
Posted by きくの at 2008年03月18日 11:35
セブンイヤーズインチベットという映画でも
中国のチベット侵略の様子が描かれていますが
現地ではあの何倍もチベット人が苦しんでいるんでしょうね。

中国内部からの現政権批判が検閲等で出来ない状況らしいですが
知人の中国人も憤っておりました。
チベットの開放を心から祈っております。

また、このような問題を扱ってくれてうれしいです。
Posted by ブラピ at 2008年03月18日 12:42
You Tubeで、チベット人が中国人兵士に一方的に虐殺されている映像を見たことがあります。まだ、このような時代錯誤な行為を行っていることに憤りを覚えました。
阿部さんのおっしゃる通り、国際社会の働きかけでこの蛮行をやめさせるべき時だと思います。
Posted by taka at 2008年03月18日 17:16
私は恥ずかしいことに虐殺に関して知ったのは
かなり最近のことでした。
「ホテル・ルワンダ」が話題になり、その映画を観て感想を
知人に話したときに、隣国でも、今も尚行われているんだよと
教えてくれました。

とても悲しい事ですが、事実なんですよね。
私も何もできないと嘆くくらいなら、せめて声を、
心からの「NO!」を、あげながら生きて行きたいと思います。
Posted by ケイコ at 2008年03月18日 20:27
チベットのお話はとても厳しい現実であり、いたたまれない気持ちになります。

数年前に中華思想による民族浄化という名の元に弾圧が行われているといった
ことを耳にしたことがありますが、ご説明を拝見して改めて知る事ができました。

この間の記事の「基本的な質問」ではじめてコメントさせていただきました。
今回もそれと同じくらい大事なことではないかと思い、また特になにが出来る
のか分かりませんが、チベットの人たちを支援したい気持ちを表したくて記入
させていただきます。
Posted by hiro.k at 2008年03月18日 22:39
 阿部さん、こんばんは。
 連日の7層の話からチベットのお話とても興味深く耳を傾けております。
 そして、いつも応援しています。

 さて、チベットの話ですが、ほぼ阿部さんのブログで、ことの成行きや歴史を知りました。
 大きな悲惨な事件が起こるたびに思うのは、「じゃあ、何なんだろう?」で す。
 「いまここ」で、自分の内に宇宙はあって、だったら、こういう事件を起こしているのもまた、自分自身ということになります。
 自分の中の善悪の戦い?
 自分の中の悪を認めるため?
 どんなことも、人も受け入れ、許す訓練のため?
 自分に意味付けする自由があるのなら、そこにどんな理由をつけようか?と思うわけです。
 決して、中国のとっている行動が好ましいとは思いません。
 むしろ、嫌いなやり方です。
 でも、あえて、「嫌い」とか「いや」とか否定的な言葉を使いたくない自分もいます。
 人々の味わっているだろう苦しみを思い、悲しむのではなく、
 あえて、そんな状況の中にあっても、チベットの人々はきっと心満たされ、 笑顔でいるんではないか、そんな想像をしてしまいます。
 そして、きっと明日を脅え、恐怖におののいているのは、弾圧している側ではないかと思うのです。
 でも、きっと弾圧している側の人も全体ではなく、一人一人の日常をクローズアップしてみると、私たちとは何ら変わらない普通の生活を送ってい人々ではないかと思うのです。
 誰かの良き親、友、子供、恋人だったりするのではないでしょうか?
 自分たちの悪に気づかず、良かれと思い行動しているのではないでしょうか?
 そして、それは多かれ少なかれ、大小の差こそはあれ、誰かに対して、何かに対して、自然に対して、私たちだってしてしまっていること、だと思います。

 不謹慎でしょうか?
 でも、素直な気持ちです。
 多くの人が気づくチャンスなのかな、なんて・・・。

 あるバイオリニストのエッセーを読んだことがあります。
 その方は、内戦続きかなんかで貧しい国に音楽を届けようという企画で、
 その貧しい国を訪れます。
 ある人、いいえ、多くの人が彼女に向って言います。
 「食糧や、衣類など形があるものじゃないものをあげて、誰が喜ぶのか?」
 「そんな企画は現場を見てないから、できるんだ」
 みたいなことを・・。
 彼女は落ち込みます。そうかもしれないと・・。
 しかし、彼女は自分にできることはこれしかない、とバイオリンを弾き、美しい音楽を奏でます。貧しい人々の前で。
 すると、どうでしょうか!
 人々は涙を流し、音楽に身を委ね、拍手喝采を彼女に捧げます。
 そして、演奏後、彼らの持っているわずかな食糧を彼女に差し出すのです。
 「あなたの音楽は素晴らしい!人々は私たちのことを貧しいというけれど、私たちの心は決して貧しくはないのですよ。」という言葉とともに。

 本当に貧しいのはどちら側なんでしょうか?
 本当に苦しみの中にいるのはどちら側なんでしょうか?

 長くなりました。
 ありがとうございます。
 度々ですが、応援しています。


 
Posted by うずまき at 2008年03月19日 00:31
阿部さん、今日も、いまここ塾ありがとうございました。安心して眠れることも当たり前ではない国もある。当たり前ボケしないようにしなきゃ!と感じた夜でした。
Posted by キャッスル at 2008年03月19日 00:51
今夜の「いまここ塾」本当に本当にありがとうございましたm(__)m
真実を知りたいという気持ちと瞑想が、いかに大切かとてもよく分かりました。
今夜のお話しを聞いて、一人の欲望、野望、面子が大虐殺をも引き起こしてしまうなら、やはり一人ひとりの悟り(すでに愛されている事、全てはひとつだという事を思い出すこと)こそが平和そのものなのだと思いました。

どのお話しも凄く凄く心に響き(;_;)私もまわりの人に伝えようと思いました

今夜も沢山お話ししてくれて、本当に本当にありがとうございましたm(__)m

お休みなさ〜い(-.-)Zzz・・・・
Posted by ターコイズブルー at 2008年03月19日 01:10
中国って恐ろしい国ですね。
余りに無知な自分が恥ずかしいですが、
本当の事を教えてもらえると思って
阿部さんのブログを拝見いたしました。
かなりショックです・・・
チベットの人々を支援いたします。
Posted by 海 at 2008年03月19日 10:24
 どうすればいいのでしょうか。
 自分以外の人を(ましてや国を)変えることは出来ない。
 今、私がこのことを知ったという事は私の中のどこかに中国の行っている事と同じような野蛮な心があるのだということなんでしょうか。
 蔑んでいる人や生き物に対して?
 それを突き止めてやめる事とチベットの人々が幸せを平和を満喫している姿を思い描いて喜ぶ
 それが私にできるベストな事なのでしょうか・・・

 7層の体のお話とても分かりやすく毎日楽しみに読んでいました。
 順番に行くのですね。
 一つの層に数冊にわたって書いてある本もあるなと思ったり。 
 でも皆一生懸命伝えようとしてくれているのだなと思いました。
 ありがたいことです。
 
 今までいろいろな本を読んだり話を聞きに行ったりしましたが簡潔に表すとこういうことなんだとよくわかりました。
 こんな貴重なお話を誰もが読めるようにしていただいて本当にありがとうございます。
 
Posted by a at 2008年03月19日 14:57
平和惚けしている日本人、私腹を肥やす事しか考えない日本の政治屋には読んでも可哀想止まり、ヨーロッパの人間の行動力には遠く及ばない。俺もその一人だけど・・・。
Posted by こば at 2008年04月09日 16:11
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