2008年10月18日

阿修羅界


【阿修羅界】


人間界の分別や知恵が研ぎ澄まされてくると、感覚が鋭敏になってきます。

人のちょっとした表情までも見抜けるようになります。


あらゆるところに注意が行き届き、まるで前にも後ろにも横にも、全部に目がついているかのようです。

用心深く抜かりがありません。


そんな研ぎ澄まされた鋭い感覚の世界が阿修羅界です。

知的でスマートな世界です。


興福寺にある有名な阿修羅像は象徴的です。


阿修羅界


三方に据えられた知的で魅力的な顔。


人を惹きつける魅力に富んでいますが、決して幸せそうではなく、憂いをおびた感慨深げな表情をしています。





阿修羅界の精神の基本構造は、競争であり闘いです。

人よりも抜きんでること、自らの優秀性を自他ともに証明すること。


しかもこの世の富だけでは飽き足らず、彼方にある涅槃や悟りや天界の喜びにまで手を伸ばしています。


選ばれた特別な自分の優秀さから見れば、不可能なことは何もないというわけです。


心の中はいつも「自分」と自分の所有物で占められています。

そして絶え間ない比較。

常に他者より優れていることに余念がありません。



阿修羅を生かしている衝動は、自分が将来にわたって安全であるために、自分の周囲をより高い防壁で固めることです。


そのような要塞を所有しながら、さらなる領土拡大に情熱を燃やそうというわけです。

いや、さらなる領土拡大が、高い防壁の役割をすると信じています。


そのために必要であれば、より優れた人格や、より深い知識を身につける努力も怠りません。



そのような生き方のどこが悪いのかというかもしれません。

自分を成長させることの何が間違っているのかと。


ここで解説しているのは、いいとか悪いとかの話ではありません。

僕たちの意識が作り出す幻想世界をいくつかに分類し、そのひとつひとつを説明しているのです。



阿修羅界は心休まる時がありません。

ほんのわずかな油断で、何が起こるかわかったものじゃないからです。



しかし多くの場合、ドーパミンなどの分泌によって、意欲や充実感を感じているので、それを幸せだと思い込んでいます。


実際には副作用でストレスも引き起こしていますが、それを解決するためにも、さらに高い防壁を作り出そうとするので、そのゲームには終わりがありません。

今更やめるわけにもいかず、身体が病んでドクターストップがかかるまで走り続けるというのが、この世界の宿命です。


しかし、その努力の甲斐あって、全てが満たされた境地をつかむ人が出てきます。


それが天界です。



次回は、六道の最も高い世界、天界を解説してみます。





Posted by Toshiro Abe at 10:41│Comments(12)
この記事へのコメント
あべさんこんにちわ。

阿修羅界・・・魅惑の世界・・・疲れ果てる世界ですね。
阿修羅界の人の廻りにもギラギラした凄い人達が沢山集まっています。

それを、人は「輝き」と呼んでいるのだと思います。
自分にも見に覚えのある世界。そして、今でも自分の中に垣間見る世界です・・・

自分が阿修羅界にいる時の怒り・・・この怒りと言ったらありませんね・・・
他の人にどれだけのダメージを負わせていたかと思うと、申し訳ない気持ちになります。


人間界の構図がよく見えてきます。明日も楽しみにしています。
Posted by ななこ at 2008年10月18日 11:25
な~るほど納得!

阿部さんが人間界の次に修羅界を位置づけた意味が分かりました。

成長という名の目的のため、様々なものを身につけようとする態度が

向上心だとか言って美化されますが、

あんまり無理をしたり、身の丈に合わないことをやったり、

要するに、自分のあるがままの状態を飛び越えて

何か特別な存在になろうとすると

身体と心にガタがくる。

僕みたいにヘルニアになったり、頭がハゲたり、他人の目ばかり気にしたり。

阿部さん!!! 僕は阿修羅だよ! 実に阿修羅だ!!! むかし全日本プロレスに阿修羅原ってレスラーがいたけど、

僕の生命は阿修羅だ!

もう止めます! 特別な何かになるため四苦八苦する人生ゲームはコリゴリ。

自分らしく在ります! テカテカしようと思います。

でも、鼻毛の処理はちゃんとしようと思います。
Posted by スナックふれあい at 2008年10月18日 11:26
阿部さん。

こんにちは。

僕も一応社会人やってるんでこの阿修羅界の状態がよく理解できます。

特に政治家の派閥争いとかみてるともうそのまんまですよね。

ここまでの六道の記事を見てきて思ったんですが全て自分に当てはまるんで少し反省しております。
Posted by 大工見習い at 2008年10月18日 12:53
阿部さん こんにちわ♪

阿修羅界ですか・・・
この気持ち分かる気がします
少し前の私です
もっといい人にならなくちゃ もっと知識を詰め込まなきゃ 
みんなに「何でも出来る人なのね」って賞賛を得たいために走り続けるんです
そのために家族はいつも最後に回されて・・・
自分はドーパミンが出ているから疲れを知らないで走れるんですね

結果身体を壊しました
これは去年の私です
あれから一年経って今の私は・・・
あまりに暑かった今年の夏と仕事の悩みに苦しんだらいろんなことから肩の力が抜けたようです
きっと疲れたのですね
人にどう思われようとあまり気にならなくなりました
最近は 疲れたら休む (笑) の私です^^
その代わり 走る時はその時その時真剣です
以前の私と違うのは 人に認められたいから走るのではなく、自分が心からそうしたいから!になったような気がしています
これも 阿部さんのお陰です。。。
本当にありがとうございました 
次回の天界もどんな世界なのか楽しみです
幻想だとは思っていても興味はあります^^

今日もありがとうございました♪
Posted by sunday at 2008年10月18日 12:55
ここまで5つの世界を書いてきましたが、どの世界を書く時も自分がオーバーラップします(笑)

このシリーズになってからというものの、書く時間もほんのわずかで終わってしまうので、自己回帰シリーズのようなものかもしれません。

でも僕たちはこの六道を超えていくことが可能です。

思考と感情を客観的に調べることを通して、誰でも超越世界に達することができるのです。

サマタ瞑想やヴィパッサナー瞑想も、その道のひとつです。


時は来た。

そう思います。



一緒に飛翔しましょう。
Posted by Toshiro Abe at 2008年10月18日 14:49
一緒に…飛翔したいです。(^^♪
Posted by てるね at 2008年10月18日 15:41
>僕みたいにヘルニアになったり、頭がハゲたり、他人の目ばかり
 気にしたり。


まるで私への当てつけみたいですね、・・・プイプイ
Posted by たまたま見た者 at 2008年10月18日 16:56
はい、ご一緒させて下さい。

「目覚めの時がきた」

そう思います。
Posted by 花畑 at 2008年10月18日 16:59
あべさん こんばんは。

きょうも、ワクワクしながら読ませていただきました。

是非、ご一緒させてください♪
Posted by らぶ at 2008年10月18日 19:14
たまたま見た者さん、
あなたへのあてつけでなく、

ほとんどの人へのあてつけですよ。
あははは、

だから、多くの人が、このブログをありがたく観てるのだとおもいます。
プイプイじゃなくて、
ブイブイ、 V V、 ビクトリービクトリー
みんなで一緒に飛翔しましょう。
Posted by みなべ at 2008年10月18日 21:14
阿部さん、こんばんは。
ぜひぜひ、お供させてください!!
Posted by マミィ at 2008年10月18日 21:29
いいね。阿修羅に、なりたい。
Posted by tabukijyuri at 2019年06月10日 02:34
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