【畜生界】
名称だけ読むと、まるで動物に生まれ変わるかのようですが、実際にはそうではありません。
動物の特徴が顕著に表れる世界です。
とは言うものの、動物の中にも人を癒したり、盲導犬のように人を助けたりする存在がいます。
これは畜生という表現には当てはまりません。
一方で、飢えた野犬の群れにエサを与えれば、我先にと貪り食うことでしょう。
畜生という表現は、動物そのものを指すのではなく、自分さえよければいいという頑固な姿勢のことです。
【畜生界】
畜生界は、餓鬼界よりはやや苦痛が減ってきていますが、それでも空腹感は強烈に残っています。
そこで周りを省みずに、何でもかんでも自分のものにしようと突き進みます。
目の前に障害物があろうと、沼地が待っていようと、お構いなしに一直線です。
そして気に入ったもの(権力・金品・異性など)があれば、自分に引き寄せるために何でもやるのです。
後先を考えず、目の前の快楽を貪り食う姿は、まるで畜生そのものです。
その結果、人に迷惑をかけようが、人を傷つけようがお構いなしです。
この世界においても、自分だけが正しく、自分の夢を実現するのが何が悪いといった独善的態度が見られます。
そこには他者に対する配慮や、おかげさまという感謝が微塵もありません。
その結果、一時的に裕福になったり、権力を手に入れたり、満たされた生活を送る場合があるのですが、当人の顔には幸せな光は射していません。
むしろ、固まった仮面の下から、人を見下した尊大な態度が見えるだけで、品性に欠け、人間性を感じることはありません。
それが畜生界と呼ばれる世界です。
世間で成功者と言われる人たちの中にも、このような存在がいます。
そんな人たちに媚を売ったりへつらったりする人間も、同類と言わざるを得ません。
畜生界の特徴は、分別のなさ、自分本位、愚かさです。
ここまでの三つの世界(地獄界・餓鬼界・畜生界)を三悪道と言います。
しかし、それは悪いことをした人間が死後に赴く世界のことではなく、まさにこの世において我々が陥ってしまいがちな苦しみの世界なのです。
こんな話に興味を持ってくれましたか。
残り三つの世界があります。
そしてこの六道が我々の可能性の全てではありません。
そこを超えていくことが可能なのです。