小話

Toshiro Abe

2007年02月19日 11:50


「延命十句観音経」の次の一句の解説の前に、釈迦にまつわる短い話を紹介しよう。

これも「いまここ塾」で話すような内容だ。

さしずめここは「ネットいまここ塾」だね。



或る時、お釈迦さんが道を歩いていた。

彼はすでに有名人で、周りにはいつもたくさんの人がいた。

彼の悟りがどれくらいのものか見届けてやろうとする者達もそこには大勢いた。



すると彼の前方から急に毒蛇が飛び出してきた。

すべてを超越したブッダはその時どうするのかと、人々は一瞬息を飲んだ。


すると彼はすばやく身をかわし、その場を逃げ去った。


それを見て人々はこう言った。

「聖者なのに蛇が怖いんだね」

「すべてを超越しているって噂だったのにね」




でも彼は、実際にすべてを超越していたんだよ。

この話が何を言いたいのかよくわかるように、もうひとつのエピソードを伝えよう。



彼の弟子達が森の中で瞑想していた時のことだ。

そこに一番修行熱心な一人の男がいた。


こともあろうにその男の膝元に毒蛇がニョロニョロと近づいてきた。


男はその気配を感じ凍りついた。

「どうしよう、でもここでうろたえちゃいけない。長年かけてきた精神統一をこんなことで乱すようでは・・・お釈迦様はどんな時でも無になれと教えてくださった。それにここでうろたえたら後輩達にもしめしがつかない」


そんなこんな考えながら、恐怖心を克服しようと頑張って、彼はその場をピクリとも動かなかった。



そして蛇に咬まれて死んでしまった。




それを聞いて釈迦はこう言ったとされる。

「馬鹿な奴だ」




僕らは、つい形にはまっちゃうよね



さ、今日こそ引越し準備するぞ!

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